6月20日と21日の2日間、京都国際会館で開催された「産学官連携推進会議」に参加しました。この会議は、産業界、大学を含めた研究機関、国や地方の行政機関の関係者が集まり、産業界と大学との共同研究など産学官の取組に関する成功例や課題などについて議論を行うもので、今年で8回目の開催となります。今年は、経済状況が悪化している中での開催でしたが、昨年を上回り、過去最大となる4500人を超える関係者が集まりました。「不況だからこそ、大学などの知恵を次の産業につなげていく原動力としたい」との皆さんの思いからでしょうか、会場は熱気に包まれ、非常に活気ある会議となりました。
今回の会議において、私は、主催者の一人として基調講演を行うとともに、会議の合間を利用して、同じ会場で展開されている産学官連携に取り組んでいる企業・大学などの展示ブースを訪問しました。全国からいろいろな大学、企業が参加されており、新型インフルエンザにも対応したマスク(文部科学大臣賞:京都府立大学)、家庭でも使える小型風力発電機(経済産業大臣賞:(株)ゼファー等)、雑草や木材からエタノールを合成する技術(岐阜大学)、革新的な太陽電池 (東京大学)など、大学と企業の協力で様々な商品、しかも非常に優れた機能を持つものが開発されていることを知り、まさに、この目で「日本の底力」を見た、という気持ちでした。こういった企業や大学の知恵や努力が日本を支えているのだなと、何か元気をもらった気がしました。本当に、日本って凄いんですよ。これを見たら、きっと皆さんも「日本もなかなかやるな」と明るい気持ちになると思います。
もう一つ、皆さんにご紹介したいことあります。それは、先の補正予算において創設した「最先端研究開発支援プログラム」です。このプログラムについては、今回この会議の私の基調講演の中でも紹介しました。
このプログラムは、補正予算による新たに創設された2、700億円の基金を活用して、我が国を代表する中心研究者及び研究課題を30程度選定し、3~5年間にわたって自由度の高い研究資金と研究に専念出来る環境を提供することにより、世界のトップを目指す研究開発を実施してもらうものです。我が国の経済発展に寄与する研究開発はもちろんのこと、我が国の「底力」を強化する「新たな知を創造する基礎研究」も対象としており、様々な危機に直面している現在にあって、このプログラムは日本の活力と力強い成長力を強化し、これからの明るい日本の未来を切り開く上で大きな起爆剤となり得るでしょう。
私は、このプログラムを進めることで、国民の皆さんに、是非、科学技術に対する関心を高めて頂きたいと考えています。
現在、毎年約3.5兆円の政府予算が科学技術分野に投資されていますが、これは勿論、国民の皆さんの税金でまかなわれています。一方で、国民側からみると「科学技術の成果が何に役立っているのか良く分からない」などの声があり、日本が持つ科学技術力を全ての国民の皆さんが実感できる状況になっていないのが現実です。この溝を埋めること、すなわち国民の皆さんに科学技術に対する関心を持って頂き、タックスペイヤーたる国民の皆さんに「是非この分野に投資したい」と思って頂けるような努力、視点がこれまでは足りなかったのではないでしょうか?
このような観点から、国民が日本の科学技術力を実感出来る研究開発に本プログラムの研究資金が投資されることが重要と考えています。
そこで、本プログラムを始めるに当たって、国民の皆さんが、「将来、科学技術によってどのようなことを実現してもらいたいか」、「10年後、20年後にどのような科学技術の成果が国民生活等に役立っているか」等についてインターネットを通じて広く意見募集を行うこととしました。寄せられたご意見は、本プログラムの課題の選定に際して、貴重なご意見として参考にさせていただきたいと考えています。内閣府のホームページで7月12日まで皆さんのご意見を募集していますので、是非、積極的な参加をお願いします。
(https://form.cao.go.jp/cstp/opinion-0004.html)
イチローのようなスター選手が活躍すればメジャーリーグへの関心が盛り上がります。昨年の北京オリンピックでは太田選手の銀メダル獲得によりフェンシングへの関心が高まりました。
今回のプログラムで選定される研究者は、言わば科学技術界のスター選手です。今回のプログラムによる研究が進捗すれば、すなわち科学界のスター選手の活躍により、国民の皆さんの科学技術に対する関心を高めていくことが出来るのではないでしょうか?
こうして科学技術への関心、期待が高まることで、引いてはそれが国民の皆さんの意思として科学技術への投資が進み、その果実により、皆さんの生活の質の向上につながる・・・、そう確信しています。今回のプログラムをきっかけに、国民と研究者とが科学技術の振興において互いに、より良い関係(Win-Win)を築くことができればと願っています。